劇場版ポールプリンセス鑑賞後の備忘録

12月頃からX(旧Twitter)のTLでちらほら見かけるようになったポールプリンセス!!。
年末に漸く初回鑑賞できたんですがすっかりハマり、この正月も絶賛脳焼かれ中です。

1時間の上映時間に対して内容が詰め込み気味なのは否定できず、
個人的にはとくにキャラクターの心情は初見で汲み取りきれない部分がありました。
この記事は、そんな中でも鑑賞を重ねることで少しづつ「こういうことだったのでは?」と思えてきたことの備忘録です。

スバリリが"向き合える"まで

ダブルスを組むことになる南曜スバルと西条リリア。
「はじめは順調も演技の方針で対立してしまい、そこをスバルの過去を絡めて向き合い、乗り越えて…」というのが二人のストーリーの大まかな流れだと理解してたんですけど、
この流れがある行動からも描写されていたのでは?というのと、 なぜ二人は向き合うことができたのか?というお話。

拳の合わせ方

アズミスタジオでポールダンスジャパンに向けた種目担当が発表されるシーン、
スバルとリリアがダブルスを組むことも伝えられ、仲良く拳を軽く合わせていてうまくやっていけそうな雰囲気を醸し出しています。
しかし、その後大会予選での順位が振るわなかったことを受けて少しギクシャクした関係となり、冒頭で述べたように演技の方針1で対立してしまいます。

気付きがあったのはここで、そもそもスバルとリリアは種目担当発表時点ではまだちゃんと向き合えていなかったことが「拳を合わせる」行動で示されてたんじゃないかなと。
この時二人はお互いに「よろしく」と伝え合いながら拳を合わせてるんですが、形としては横から軽くぶつけるような感じで体も正対してなくて、物理的に向き合っていません。
これがその後に出てくる和解シーンとの対比のようになっています。

対立を経て公園でお互いの想いを確認した二人は演技構成の変更を決め和解し、
再び拳を合わせています。
この時は体が正対していて、拳も正面からしっかり合わせられているんですよね2
もちろんここでスバリリの関係性が一歩進み気持ちが向き合えたことは演出やキャストさんの演技でしっかり伝わってくるんですが、画としてもしっかり描写されていたことが嬉しかったポイントです。
こういう気持ちの変動がキャラクターの動きに反映されてるの、良いですよね…。

「ダブルスなんだよ」

スバルとリリアは無事和解するわけですがこれは何がキーだったのかを考えてみると、
公園にやってきたリリアから「私達ダブルスなんだよ」という想いを受け取ったスバルがハッとした部分が印象的です。

webアニメ版および劇場版劇中での描写から、スバルは将来有望な体操選手だったことが明かされています。
そして、スバルの発言や回想シーンから
- 高校最後の大会でチームのために団体優勝が欲しかった
- その為に高度な技に挑むも失敗し、さらに大怪我を負ってしまい体操自体も諦めざるを得なくなった
ということが分かりますが、この"チームのため"というのが1つキーのように思えます。

明かされている背景からするとスバルは個人種目で優勝やそれに準ずる成績は狙える選手だったように推測できますが、欲しかったのはあくまで"チームのために"、"団体優勝"なんですよね。
仲間と一緒に栄光を掴みたい、そういう気持ちが強い子なのが伺えます。
そしてその裏返しとして、"自分が足を引っ張りたくない"という感情もあります。

ポールダンスを始めてからもこの部分は変わっておらず、
象徴的なのはポールダンスジャパンカップ予選後の焼肉食事会のシーンですね。
乾杯してすぐ食事に手を付けることもなくスバルはアズミ先生に"予選では大きなミスもないのに点数が伸びなかった、どうすればいいのか?"、"自分がチームの足を引っ張りたくない"と吐露しています。3

スバルはチームに貢献したいという気持ちを一人で抱えこんでしまっています。4
そんな彼女に"私達はダブルスだ"と真っすぐ伝えてくれるリリア、めちゃくちゃ救いですよね。
チームを勝たせるとか失敗したらどうしようとかも一人で思い詰める必要はなくて、
二人で乗り越えれば良い。
体操選手時代からのトラウマにここで踏ん切りがつくことで、スバルは技の難易度を上げる決心をしてリリアと本当に向き合うことができたのだと思います。

ここそれだけではなくて、決心ついたからじゃあ難易度上げて悩み解決頑張ろう!とはならずに 「難易度上げるってこと?」とワンクッション確認が入るんですよね。5
その場の勢いじゃなくスバルの気持ちを確かめながら一緒に歩んでいく、良い相棒です。
リリアお前そういうとこだぞ…。

ここまででも十分絆を深めているスバリリですがさらに決勝演技前にイベントがあって。
エルダンジュの演技に圧倒されつつもギャラクシープリンセスのトップバッターとしてステージに臨む二人。流石に緊張で手が震えるスバルの手をリリアが握って「二人だから」と改めて伝えるんですよね。
何なんですかね本当に、西条リリアさんは聖人の生まれ変わりかなんかなの?
スバルの満面の笑みもまた良くて…、この辺りを自分なりに解釈できることでより二人のショーがより楽しめるようになってきた気がしています。

終わりに

東坂ミオさんについても好きな描写があったのでそれも残したかったのですが、力尽きました。
別の機会に書き残しておきたい…。

劇場版ポールプリンセス!!、3回見させてもらったのですがまだまだ"味がする"ので可能なら4回目も観に行きたいです。
1回目<2回目<3回目と順当に鑑賞時の面白さが増して来てるのと、
何よりもショー部分の映像と音楽の迫力は劇場でこその部分があるので、何回でも楽しめそうです。


  1. 大会直前の急な演技構成変更により失敗する可能性を残したくないスバルと、難易度を上げて勝ちに行きたいリリア
  2. 表現はグータッチが近いのかなと思ったけど、調べたところ正確にはフィストバンプっていうぽい
  3. 実際のところ、この時点ですでにスバルの中には「技の難易度を上げないと」という考えもあったでは?と思います。高校生のときにはそういうことしてるわけなので。スバルの背景を知っているアズミ先生は安直にそういった提案はせず、"まずは今やっていることの完成度を上げる"、"焦らない"と伝えつつ食事に意識を向けさせて話を打ち切っています。大人や…。
  4. どうしてそんな風になったのかも気になるポイント。怪我して体操できなくなった時の回想シーン、尺の都合かもだけどスバルの周りに誰も寄り添ってないんですよね…体操エリートばっかで殺伐としてたのか…。ギャラクシープリンセスの面々との交流を見るとスバル自身は普通に協調性あるし、ヒナノとユカリになにかあることを察してたり、自分事じゃない時はちゃんと周りが見える子でもあるんですよね。
  5. リリアも難易度を上げることに不安がないわけじゃなくて、スバルとならと思っているのが加点ポイント